自らの商売を腕のいいスリにたとえたホールオーナー

「自らの商売を腕のいいスリにたとえたホールオーナー」

高騰する機械代に経営が圧迫されいることを理由に、新台を導入してもすぐに回収に走るホールが少なくない。新台を育成するよりも早目に中古市場に流して、高値での転売を目論むからだ。

客側もそんなことは先刻承知。1週間も経てば閑古鳥が鳴く新台コーナーも珍しくない。

機械営業に頼らない経営にシフトすればいいようなものだが、それには人材育成が必要になってくる。それもできずに業績はジリ貧になっていく。

ここにパチンコ営業の原点を忘れてしまったホール経営者に贈る逸話がある。

今から40年以上も前の話だ。
パチンコ店へアルバイトで入った大学生はオーナーからとんでもない話を聞かされ面食らった。

「ワシらの商売はスリじゃけん」と自らの商売をスリにたとえた。

何をこのオヤジは言い出すのかと訝ったが、詳しく説明を聞いて納得した。
下手なスリはサイフごと持って逃げる。
ちょっと賢いスリは中身だけ抜いてサイフは戻す。
さらに腕のいいスリは、相手の顔色を伺いながら1000円ずつ抜いていく。
この腕のいいスリの例に習い粗利60%という信じられないような抜き方をしていた、という。

客の顔を覚え、どれぐらい勝っているか、負けているか勝敗金額まで頭に入れながら釘調整した。
出したり、取ったり。

どんなに時代が変わってもパチンコ商売の原点は変わらない。新装開店で玉を出して客を付け、徐々に徐々に絞っていく。昔の新装開店は入れ替え台数も多かったので、「勝った」という記憶を客に刷り込ませやすかった。

今は機械代を回収するために閉めるのが早すぎる。客は負けた記憶しか刷り込まれない。

客はこの勝ったという記憶を元にまたパチンコを打つ。
100回やって100回負けさせる店はまさに下手なスリ。

負けていることに気づかせないように徐々に負けさせる。これがパチンコ営業の極意というものだ。

コンピュータのデータ主義におぼれると、判断を誤ることもある。
常にホールに出て客の顔色を伺いながら、営業しなくてはならない。
データからは読み取れない打子グループの排除にもつながる、というもんだ。

ちなみに、アルバイトでパチンコ店に入った大学生は、その後独立して自分の店を3店舗持つまでになった。パチンコの商売の原点を忘れることなく“腕のいいスリ”を目指してきたからに違いない。

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