自律型人材を育てたいと言うけれど

■自律型人材を育てたいと言うけれど

昨今、研修のニーズで多いのが「指示待ち型人材から自律型人材への転換」というものです。
しかし、意外に「自律型人材」についてヒアリングを開始しますと、そのニーズが曖昧なことが少なくありません。
そもそも、「自立」と「自律」の違いを辞書で調べますと、下記のようになります。
「自立」
他への従属から離れて独り立ちすること。他からの支配や助力を受けずに、存在すること。「精神的に―する」
「自律」
他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること。「―の精神を養う」カントの道徳哲学で、感性の自然的欲望などに拘束されず、自らの意志によって普遍的道徳法則を立て、これに従うこと。
つまり、「自立」とは、自分の意見を持ち、自己の意見を主張できる人材であるが、個人の単なる自己主張・満足で終わってしまう状態のことであり、「自律」とは、他者のニーズを把握し、それとの調整をはかりながら、自分自身の行動のコントロールを行い、自らを律しながら、自己実現を図ることのできる状態と言えます。

この意味から判断しますと、企業が求めているのは、特に指示や命令をされなくとも、自らの意志できちんと判断し行動できるような人となります。とても、変化の激しい世の中ですから、上の号令を待ったうえで、黙って聞いて動いてくれるような人よりも、自分の置かれた立場で考えて行動してくれる人材が求められることも、よく分かります。

ただし、そういった人材を求めるのは良いのですが、求める側の経営層の意識が、お話を聞いていると、どうしてもちぐはぐな印象を受けることが多くあります。
自律型人材を育てたいと言いながら、そういう人材が育たないような手法を、一生懸命とっているように思える組織も少なくないのです。
賞罰・規律・統制といったもので、従業員を望みの形にはめ込んでいき上の命令からはみ出ることの無いように行動するように社員を教育しているのです。
このやり方では、自律型人材は育ちません。根本的にずれてしまっている訳です。

自律型人材を本気で育てたいのであれば、目の前のカリキュラム変更をするのではなく、一度、人事制度を抜本的に解体し、モチベーションが上がるような理念やビジョン作りなど、従業員が伸び伸びと成長できるような土壌作り、環境作りを行う必要があります。
さらに、現場の教育に携わる人たちも作業員的な意識から主体的に行動する人という意識に変わらないといけません。

強制的に図面通りの人間を作ろうとするのではなく、時間をかけて成長を見守り必要以上の手出しはせず、育ちやすいように環境に気を配るということをしなくてはいけないのです。
組織的に自律型人材を育てるというのは、これだけの大転換を全社的に行うことなのです。

では!また。

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