愛社精神の考え方

愛社精神の考え方

自分の会社をよくしたい、自分の会社が好きだ、この会社で働けて誇りであるという気持ちが愛社精神の要であると言われていました。
経営理念の遂行には、社員ひとり一人が、経営理念の意味を理解して行動を起こす必要があり、その時の原動力が「愛社精神」であると・・・
しかし、現在、入社2~5年目の社会人のアンケート調査の結果では、愛社精神が「ある」と答えた人は40%程だそうで、調査開始以来最低の数値になったとの事です。

現在の環境化では、以前のような「終身雇用・年功序列」をベースとした家族主義の下にあった「従属と保護」を前提とした愛社精神は薄れていきます。
これからは会社に対する盲目的な「愛社精神」では無く、誇りの有無が忠誠心を支えると考えられます。

では、忠誠心の元となる「会社の社員に対する愛」について考えてみたいと思います。
なぜなら、社員に愛を求めるのであれば、会社も従業員に対して愛情を抱き、示さなければフェアとは言えないからです。

まず、そもそも会社は自社で働く社員を愛するべきなのかについて、考える必要が有ります。それは会社の価値観、特にトップの人材理念によって考え方はさまざまであり、必ずしも愛するべきだとはいえないと思います。

会社によっては、人材は「人・モノ・金・情報」という経営資源の中の一つであり、最大限活用すべきものであると考え、また、従業員に対して愛社精神は求めず、会社を個人の成長の場として活用してもらいたいと考えているところもあります。
ただし、こうしたドライな企業であっても、「不当に扱っている」ということではないのです。
一方、人材理念の中に社員に対する愛情を盛り込んでいる企業もあります。
例えば「人は会社の財産であり、人あっての会社だと考えている」や「できれば長く勤めてもらい、一緒に会社を支えて欲しい」といった考え方です。ドライな会社と家族的な会社のどちらが良いのか、それを判断するのは働く人々です。
会社がそれぞれ独自の人材理念や価値観を持っているのと同様に、個人の労働価値観やモチベーションリソースも様々です。

俗に「良い会社」という言葉が使われますが、この「良い会社」の定義は様々で、自分自身がどのように感じるかが大切なのです。社員に愛社精神を望むのであれば、企業は愛情を社員に示せなくてはいけません。愛情を示すことができないにもかかわらず、社員に対して愛社精神を望むのは身勝手と言わざるを得ません。
もし、自社の社員の愛社精神が薄くなったと感じているのであれば、まずは企業側の社員に対する愛情の度合いを振り返ることが大切です。

人材採用は恋愛に例えられることが多いですが、まさに「愛されたいのであれば、まずは愛すること」であり、「相思相愛」を目指して企業は社員にコミットしなくてはいけません。

■エンゲージメント
人材採用の現場で、ここ数年、よく使われるようになった、この言葉ですが、直訳すると「約束・婚約」となります。ただし、ここでいうエンゲージメントは、組織と個人の双方の成長が貢献しあえる関係を意味することになります。

これは、組織に対する単純な「ロイヤリティー(忠誠心)」や「従業員満足度」とは違う意味となります。単に、居心地がいい、給料がいい、といった従業員の満足感を必ずしもエンゲージメントとはしないのです。個人が目指す成長の方向性と組織が目指す成長の方向性がどれだけ連動している関係なのかがポイントなのです。「この会社にいると、自分が成長することができる」と思っているスタッフが多ければ多いほど、その企業はエンゲージメントが高い組織作りができていることになります。そうした企業は離職率が低く高業績を上げているのです。

優秀で上昇志向の強い人材ほど、目先の給料にとらわれず、キャリアプランや自分らしい生き方を真剣に考え、より望みのかなう職場を求める傾向が強いのです。
その結果、より良い待遇や環境を求める動きが活発となり人材の流動化が進んでいます。特に優秀な人材は、自身のキャリアプランに合った環境を求めて転職するようになり、多くの企業が、将来を担う経営層候補の人材流出に頭を悩ませています。

また、若手社員の3人に1人が辞めるなど、離職率の上昇と人材不足が深刻化しており、人材確保を経営の最重要課題の一つとして挙げる企業が増えています。
そうした背景から、企業は、個人の成長の後押しと、長期的な業績向上に向けた人事施策が重要だと改めて認識する必要があります。
そこで注目されるのが、「エンゲージメント」です。組織に対する単純なロイヤルティーや帰属意識を高めることとは異なり、個人と組織の成長の方向性が連動している、つまりお互いに貢献しあえるような関係の構築が重要だということです。
つまり、企業は社員に働きやすさや良い施策・職場風土を提供し、社員もそれに応え、企業と社員、または、社員同士の信頼関係を深め、貢献するという仕組みなのです。
社員が「会社・仕事・同僚」を誇りに思い、好意を抱くような関係性を目指す形です。

この形の事例としては、家族に仕事を理解してもらうための「会社参観日」を設けている企業があります。あるアンケート調査によりますと「三分の一の両親が子供の職業を理解していない」という結果があり、両親を職場に招き、仕事への理解を促すことを目的に生まれました。これは一般的にドライだと言われる欧米企業が実施しLinkedInのほか、ドイツ銀行、ロジテック、エデルマンなどの「会社参観日」の主旨に賛同した世界中の企業が同時期に開催し、各国メディアでも取り上げられました。

この施策は、家族に社員がどのような場所でどのような人とどのような仕事をしているのかを見学してもらい、好意を抱いてもらうことを目的としているのです。

社員が「会社・仕事・同僚」を誇りに思い、好意を抱き、その家族も共感することで、更に、その誇りと好意が増幅するのです。まさに、これこそが「従属と保護」を前提とした盲目的な愛社精神では無く、誇りと好意をベースとした忠誠心であると考えられます。

では!また。

このエントリーをはてなブックマークに追加