これからの人材採用は選ぶのではなく選ばれる時代に

これからの人材採用は選ぶのではなく選ばれる時代に

世界的ベストセラー「人を動かす」の著者デール・カーネギーは「世の中である人にあることをさせるように説得する方法はひとつしかない。それは相手がそのことを自発的に実行したくなるように、上手に道案内してやることだ」と言っています。
人材採用においては、面接を通して企業側が求職者を選んでいると思いがちですが、実は、それは極めて傲慢な考え方で、人が真に動くのは自分自身で「そうしたい」と感じるときだけなのです。

つまり、人材採用において企業は求職者を選ぶのではなく、求職者に選ばれているのです。

少子高齢化が進んでいく中で、人材マーケットは完全に売り手市場になり、必要な人材を採用することは、とても困難になりました。
今後の人材採用は、そもそもの考え方をパラダイム転換する必要があります。「どうすれば採用できるのか?」ではなく「数多くの企業から自分達の会社を選んでもらうにはどうしたら良いか?」というスタンスなのです。

では、選んでもらえる企業になるためのポイントについて解説いたします。
「選ばれる企業」となるためには、応募者の価値観の変化に対応しなくてはなりません。
今は「会社に帰属したい」とのニーズから「自分自身の能力・個性が発揮できる」「仕事を通じて社会貢献ができる」会社が選ばれます。
このことから、企業は「社内で多様な能力・個性をもつ従業員が活躍している姿」「仕事を通じて従業員が社会に貢献している姿」を見せる必要があります。

また、人材採用を別の視点で考え「応募者満足度を上げる」ということに注力している企業もあります。
当社が実施したアンケートによると、過去、選考過程で不快な対応をされたことが原因で辞退した経験がある応募者は、2014年(26.6%)から2015年(31.8%)と5.2%増加しています。
こうした辞退を避けるためには、応募者との接点全てで応募者に不快を感じさせないための対策が必要となります。経営トップを含め面接官・リクルーターとして活動する社員に対して応対基準を設定し、応募者はお客様であるという認識の徹底が必要です。

■採用競合に勝つ?!
人材採用に困っているというパチンコホールが多い中、経営者の方や人事部の方から「どうやったら、ライバル他社に勝てますか?」「近くに同業の店ができて時給を引き上げて募集してきていますがどうしたらいいですか?」という相談を多く受けるようになりました。
その方々に、最終的にはどうしたいのかを尋ねてみると「ライバル他社に勝ちたい」「同業他社よりも上を行きたい」とおっしゃられるケースがあります。

しかし、その話しの中には「働く人」が出てきていません。
出てきたとしても「スタッフを取られてしまった。どうしたらいいか?」とスタッフのことを、まるで盗まれた品物のように言っています。

ビジネスには競争がつきものですが、現実の競争に晒された結果「競争をするためにやっている」という考え方に陥ってしまっているのです。
それゆえに、最終的にどうしたいかという目標が、競争相手に向いてしまっているのです。
求職者や働くスタッフの方へ向いていないわけです。

中国の古典には「孫子」などの「兵法書」がたくさんあります。
一見、兵法書というと「敵の軍勢を一気に全滅させる方法」のようなものが書かれてあるというイメージを持たれるかもしれませんが、実は、兵法書の基本は「敵に勝つこと」では無いのです。
戦争の勝ち方よりも「こんなことをすると民が困る」「民や兵士が喜ぶためにはこういうことが必要」ということが書かれているのです。
そして、意外にも、戦争で敵に勝つことよりも、むしろこんな時には戦争をしてはいけないと、戦争をしないことも多く書かれています。

つまり国家経営とは、敵となる他国を向くのではなく、国民や兵士たちを向くほうが大切だということなのです。

これは、人材採用でも同じことなのです。
大切なのは、ライバル他社に勝つことよりも、求職者や働くスタッフの方を向くことなのです。
求職者や働くスタッフのために一生懸命にやっていたら、気が付けば、ライバル他社を引き離していたというのが理想の形です。
他社がこうだから自社はこうというような採用手法では無く、自社の良さを訴求していき、共感を得るスタイルが重要なのです。 

■優秀な人と優秀な会社
また、採用担当者の声として、労働力不足による強烈な売り手市場のため、自社ではなかなか「優秀な人を採用できない」とお聞きします。

実は、そもそも企業の人材採用は、優秀な人間を集めたからといって優秀な会社になるとは限りません。
人は、誰もが少しでもいい仕事をして、会社に喜んでもらい、自分も喜びたい、世間の役にも立ちたいと思って会社に来ているのです。

大事なのはその人たちが示された方針をきちんと守ってやってくれるかどうかであって、優秀かどうかではないのです。
肝心なのは、その人たちに対して、はっきり会社の方針と目標を示して、やり方を明示することなのです。

今後の人材採用においては、新卒採用・キャリア採用・アルバイト採用の全てにおいて、労働人口が減少する圧倒的な売り手市場の中ですので、古代、地球と太陽の関係が天動説から地動説に変わったような採用プロセスと意識の変革が必要です。
「CS:顧客満足度・ES:従業員満足度」の向上などと良く言われますが、今後は「応募者満足度の向上」という言葉が定着するかもしれません。

では!また。

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