弱小店の生き残り方法は会話を求める客の育成

弱小店の生き残り方法は会話を求める客の育成

ある地方の一時期は一世を風靡し地域一番店だった店舗をご紹介します。
この店舗、現在はオープンから17年以上が経過し、躯体はホールの上階に立体駐車場を抱える造作になっている。一世を風靡した威容にもところどころ、老朽化が目立つ。
オープンから17年の間には、商圏エリアにも地殻変動が起こった。9年前、ホールから数分の場所に県外から大型店が進出してきた。これに対抗するように地元大手が1000台に増台して県外資本に対抗した。

この2店舗に挟まれて、みるみる客は県外資本の店と地元大手に移動して、再び帰ってくることはなかった。

しかし、強豪同士と同じ土俵で戦う選択はしなかった。テコ入れを図るために店長を入れ替えたが、結果が出せる店長はいなかった。

会社としては閉店も視野に入っていたために、機械代や広告宣伝費の予算もほとんど回ってこない状態で、送り込まれた新店長。普通なら島流し、左遷と思われるような人事異動だが、腐らなかった。
 
現状はランチェスター理論でいうところの圏外。エリア内の市場占有率は一桁。ここまで来ると座して死を待つしかない。そんな店舗に会社が投資しないというのも頷ける。

そのような中、新任店長が取った行動は、機械を案内するのではなく、スタッフには自分自身を売ることを勧めた。手本を店長自らが示した。新任店長のあいさつ代わりにチラシには店長の顔と名前を載せた。あまり珍しくない手法だが、そのエリアではどこもやっていない手法だった。

コンセプトは「店長と会話できる店」。これは「毎日会えるアイドル」のキャッチコピーに近い。競合店は会話を重視していなかったのでこの路線で突っ走った。

店内に併設されて飲食店でお客と休憩時間のスタッフが一緒に食事することまでも推奨した。「お客さんが納得するまで話せ」と。傍から見るとすごい光景にも見えるが、客との密接度はナンバー1となった。

1年間、会話作戦を続けてきた結果、月20回以上来店する固定常連客が増え始めた。このホールの客は新台や出玉を求めていなかった。勝ち負けよりもスタッフとの会話を求めてやってきていることが分かった。

固定常連客はたまに事務所に電話を入れてくる。

「今日は用事があって行けない」

「明日は行けないけど心配しないで」

いつも来ているのに、姿を見せないとスタッフが心配することを心配して、わざわざ電話を入れてくる。

お客にすればホールはわが家でもある。

自分の家のトイレを壊さないのと同じで、このホールでは負けた客が腹いせに台やトイレを壊す事例が皆無だ。

新台、出玉で勝負しない、しかも投資もしないホールの生き方を見た。

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