廃業の危機を店長の熱意が止める!

廃業の危機を店長の熱意が止める!

閉店・廃業が既定路線だった店舗が、店長の熱意で存続することになったケースがある。
7月1日、広島・呉市にグランドリニューアルオープンした「プローバ呉」がそれ。老朽化した建物を解体し、平屋の1階建てホールに生まれ変わった。

プローバグループは広島県内を中心に島根、山口、東京で20店舗を展開している。M&Aにも積極的で事業承継によって新たに3店舗がプローバグループに加わる予定だ。

呉市はプローバの発祥の地であり、本店所在地でもあった。創業は昭和28年。3階建ての本店ビルが完成したのは38年のことだった。

1階がパチンコ、2階がゲームセンター、3階が本社だったが、建物は50年以上が経過してボロボロの状態だった。3階の本社事務所でラジオ体操はご法度、というレベル。床が抜ける恐れがあるからだ。地震が起きるたびに倒壊が心配された。

建物自体が危険な状況のため、本社機能は広島市安佐南区へ移転。ゲームセンターも5年ほど前に閉鎖していた。

建物としては限界で、建て直しの時期をとっくに過ぎていたが、会社側の判断は閉店・廃業の方向でほぼ固まっていた。

理由は立地にあった。呉中通り商店街で60年以上営業してきたが、今や商店街は地方にありがちなシャッター通り商店街と化していた。人通りもまばらで、閉店した跡地はコインパーキングに転用されている。

遊技人口は年々減少するばかりで、4円、20円の営業は夢のまた夢。人通りもまばらな商店街立地で建て替えても採算性が危ぶまれた。

廃業予定の店舗で事件が起きた。

2015年12月、2階の水道管が破裂して水浸しになり、ホールの天井が抜けてしまったのだ。幸い営業時間外だったのでけが人は出なかったが、これで廃業は決定的となった。

ところが、3年前に赴任した店長は「お客様にも危険な場所では、安心して働けません。どうか店舗を建て替えてください」とオーナー社長に直訴した。

店長は赴任した時から、店の存続を決めていた。それは従業員と客の距離が非常に近い姿を目の当たりにしたからだ。それまで、スロ専勤務で若者は従業員との会話を求めないので、接客にも力を入れてこなかったため、その姿に感動した。

店長は1年目で数字を残せる組織づくり、2年目は結果を出し、3年目で建て替えをお願いする計画を立てていた。2年目で売り上げ、粗利、稼働で表彰されるまでになっていた。

その矢先に天井崩落事故が起こった。

役員会は店長の提案に4カ月悩んだ。
「呉はプローバの発祥の地。今、プローバがあるのは呉に育てられたおかげ。呉を捨てるのか?」
廃業の方向がオーナー会長の一言で風向きが変わる。

情が流れを変えた。しかし、情で会社経営はできない。店長をプロジェクトリーダーに新しい店づくりのコンセプトを決めて行く。

客のターゲットは60~70代の高齢女性。お年寄りが集まりやすく、話しやすい、過ごしやすい店。健康に気を使い全席禁煙。若者はターゲットにしないのでパチスロは設置しない。

建築コストは従来の半額のローコスト。設備も中古品を多用してコストを下げ、損益分岐点を下げた。営業は14割分岐。オープン後は従来の倍の稼働を誇っている。

全国で訪れているホールの建て替え問題だが、低射幸性時代を迎え、一つのケーススタディともいえる。

以上

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