成長企業の人事制度構築

成長企業の人事制度構築

企業がステップアップするためには、成長に合わせた人事制度に改革することが必要です。
それは、自社の方向性に合致するコア人材を確定し周知することで社内の活性化が図れ、更なる成長につながるからです。

まずは、現行の資格制度や処遇、人事考課制度、能力開発制度などについて「刺激性・公正性・納得性」の3つの視点で検討してみると新しい制度のデザインが見えてきます。

刺激性とは?メリハリを利かせる信賞必罰で貢献度によって差をつけること。
公正性とは?透明度の高いオープンな制度。
納得性とは?多くの社員が理解し納得できること。

新しい制度のデザインが見えてきましたら、次は人事戦略を構築していきます。
自社にとってコア人材とは、どのような人材なのか、女性や中高年者の活用は将来的にどうするのかなどです。

併せて人件費の確定が必要となります。
自社の中長期計画の中で、将来的に人件費をどの程度確保できるのか、それをどのような形で配分するのかを検討する必要があります。

人事制度改革と言いますと、評価用紙を変えて「その用紙を使えばみんなが同じように納得できるようになる制度」や「今の仕組みでは原資が足らずに困るので、できるだけ原資がかからないような報酬制度を作る」というケースがありますが、そのような方法は小手先だけの改革であり決してうまくはいきません。

経営学者のドラッカーは、企業経営の中で一番大事なことは、目標をマネジメントすることだと述べました。
全従業員を巻き込んで考え抜かれた具体的目標を示し、全従業員に対して役割責任を明確にして徹底し、その成果を透明度の高い方法で考課評価すれば納得度が上がり、社内は活性化し企業は成長できるのです。
そのような人事制度を構築できた企業が成長企業となれるのです。

■経営理念・基本理念の明確化と人事制度改革のポイント
制度改革の前提となるものは?
人事制度改革を行う際には、常に「人」を中心に考えていかなければなりません。なぜなら、会社を動かしているのは、人の力であり、やる気を持ち続けて活動できる人がどれだけたくさんいるかが、業績アップの源泉となるからです。
しかし、人の心は不安定であり、常に変化します。そんな移ろいやすい人の心を前向きに維持できるようにするには、制度改革の前提条件として、「人を大事にする経営理念・基本理念」を確立し、全従業員がその旗のもとに集っていかなければなりません。
基本理念という大義がなければ、人は方向性を見失います。また、日常の活動の中では、安心・安定の基盤を作り、信頼の下、前向きに行動変革できるためのコミュニケーションが行われることも非常に重要です。

■人事制度の基本的な考え方について
人事制度を考えるうえで、「人事評価・人事考課・処遇」の三つを分けて考えますと、とても整理され、工程が分かりやすくなります。

(1)「人事評価力」の向上
人事評価というのは人を観る力です。評価者の「人を観る力」をアップしなければ、そもそも評価行動の選択ができませんし、長所・短所がわからなければ、人を育てることもできません。
人を育てる力・人を観る力としての人事評価力を会社で上げていく対策がまずは必要です。
人事制度改革では、ついつい、基本的な思想を考えるのではなく、手法に走ってしまいがちです。
しかし、会社の成長ということを考えると、この「人事評価力」を上げ続けなければなりません。そのためにも、日々の仕事管理力の向上、労務管理力の向上、コミュニケーション力の向上、人材育成力の向上を、きめ細かくOJTや研修を通じて行っていかなければならないのです。

(2)「人事考課力」の向上
人事考課力は、人の行動の価値を考課者がジャッジする力です。同じ社員の行動を観ても、考課者によって判断がまちまちであれば、評価のずれが起こり、社員の納得度が下がってしまうのです。
それを防ぐには、考課者の価値観をそろえ、同様な判断ができるジャッジ力、すなわち、「人事考課力」を磨かなければならないのです。そのためには、会社としての価値観を明確にし、皆で共有することが重要です。
人事評価の公平・公正ということを考えれば、考課者が同様の価値観を持たなければ、制度自体が軌道に乗りません。
次に、判断の整合性を磨く場が必要です。多くの会社が「人事考課調整会議」などを開いていますが、人の評価の調整に終わってしまっているケースが多く、価値を合わせていないために、いつまでたっても人事考課レベルが上がらずに、部門長の力関係で評価が決まってしまう結果になってしまいます。

(3)「処遇力」の向上
「処遇力」を上げるということが重要です。人事制度の中でも、特に、報酬については、人件費という原資が必要となってきます。
懸念されるのは「新人事制度導入によって人件費を圧縮する」という考え方が人事制度改革の中心にくる場合です。
目的が人件費削減ですから、社員から見れば「経費削減の一環」と見られかねず、制度運営が軌道にならない可能性が極めて高くなります。
つまり、人事制度改革は「人件費原資を上げていこう」という人事改革でなければならないのです。本気で、先行投資をして経営改革を推進する努力を随所に展開していかなければなりません。

人事制度改革の目的は、人事制度という仕組みで「社員の意識を変え、行動を変える」ことで、その結果として業績を上げて企業を成長させることなのです。

各自が日々の仕事に追われ、将来への布石としての種まきができていないことが当たり前となってしまっているなか、将来、大事なこと、必要なことを意識してスケジュールに入れていき、それぞれの達成度を適性に評価していく仕組みができれば、活性化した人事制度となるのです。

では!また。

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