新入社員の心に火をつける、これからの「新人研修」のあり方

新入社員の心に火をつける、これからの「新人研修」のあり方

■コミュニケーション能力
さて、経団連の調査では、採用選考時に重視する要素は11年連続で「コミュニケーション能力」が第1位です。
あらゆる職種でコミュニケーション能力が重視されていることがわかります。
変化のスピードの速い現代において、異なる価値観や常識を持った相手とのコミュニケーション能力が求められるようになったのです。

しかし、ここで問題となりますのは、このコミュニケーションの定義があいまいになっている事です。
多くの現場の上司はコミュニケーションの定義を「相手の感情を推察する力」だと考え「上司が何を考えているかを読み取り、言葉にして言われなくても期待通りに仕事をする力」だと理解しています。
俗にいう「仕事は上司の背中を見て覚えるもんだ」という考え方です。

これはコミュニケーションではありません。
ビジネスにおいて上司の感情を推察して仕事をするという行動は合理的ではなく非生産的行動です。

大切なことは誰でもが分かり易い共通認識をもって感情面ではなく論理面で全員が納得する事なのです。
例えるならば、その企業や組織において「赤色」と言えば「ワインレッド」なのか「ローズレッド」なのか「インディアンレッド」なのかを共通認識として持つという事なのです。
この論理の構築は、社会人として重要なコミュニケーションの基盤です。

社内においては、早期に価値観や常識を共通とし、不用に慮る行動を減らし、売上や利益に繋がるコミュニケーション行動に注力すべく、教育を進める必要があります。

■直近の新入社員の特徴
1)上下関係が希薄で常識やマナーが欠如している。

2)地頭は良く真面目だが、出る杭にならない方がいいという意識が強い。

3)対面コミュニケーションが苦手である

総じて安定志向・内向き志向の傾向が強いようです。
このような特徴を持つ新入社員に対してやる気を持たせ、戦力化を図っていこうとするならば、初期段階で意識改革を促し「動機づけ」を図る教育が必要です。

■新入社員研修の目的
新入社員はついこの間まで学生生活を謳歌していました。
当然、学生気分が抜け切れていない人も少なくないため、早く社会人として意識改革と行動変容を促すことが、新入社員の戦力化を実現するためには欠かせません。
何より、本当の意味で社会に出た経験がないため、社会人になること(消費者から生産者)への心構えや、会社組織の一員としての意識を持ってもらう必要があります。
その上で、社会人として求められる基本的な知識・スキル、責任ある行動習慣などを身に付けてもらい、仕事への理解を深めていく。
これらを行うのが「新人研修」の目的です。

具体的には、新入社員に対して「この会社で、あなたたちに求められていることは何か」「その役割を実行するためには、この研修が必要不可欠」といったことを丁寧に説明します。
ひとりの社会人としての自覚を持たせ、当事者意識を促すことが、近年の新人研修では極めて重要です。

■新入社員の成長ギャップの理由
自社の選考を通過した新入社員の基礎的な能力には大きな差がありませんが、入社後しばらく経ちますと、思いのほか差が表れ始めます。
その原因は大きく二点に分かれます。

1)入社後に配属された上司との関係性
2)導入時に実施された新人研修の内容

新入社員の場合、導入時に研修を通して動機づけができるかどうかが、その後の新入社員の成長に大きな差を生み出します。
ここで大切なのは上司の一方的な思い込みのうえで、要求するだけでは、期待するような効果が得られません。

直近の新入社員は、非常に合理的な考え方をしますので、自分が納得すればハードワークも厭わない反面、納得できないと「なぜ、自分はこんなことをする必要があるのか?」といった疑念を抱き、積極的に対応しようとしません。
一見、非常に面倒で「いいから、とにかくやれよっ」と上司は言いたくなる衝動に駆られますが、そこは丁寧に根気よく「この仕事は、こういう意味があり、それはあなたにとって有用なことである」と説明する必要があります。

このように「上司の背中を見て覚える」スタイルから作業内容を細かく説明し「業務理解度を高める」スタイルに変わった現代において、かつて効果があった新入社員研修プログラムが引き続き効果があるとは限らないのです。
それゆえに新人研修プログラムは常に見直し、ブラッシュアップしていくことが大切なのです。

■効果的な研修内容
自社の考える社会人としての基本的行動と考え方は座学として教育をすることでよいでしょう。
その基本に加味する部分として、新入社員の心の中に働きかける「能動的」な研修を行うことが大切です。
具体的には自分の考えていることや悩んでいることを、皆でディスカッションすることが有効です。

<ディスカッションテーマ例>
1)今、どのような不安を感じているか。
2)入社前後で、どのようなイメージギャップを感じているか。
3)職場の同僚や上司とは、どのような関係性を持ちたいか。

入社後のなるべく早い段階で、こうしたテーマについて皆と話し合い、ひとりで思い悩むのではなく、お互いの考えを共有する「場」を設けることが大切なのです。
そうすることで、自分を知ってもらった、理解してもらったという「納得感」を得られ、前向きな気持ちを持って日々の仕事に向かうことができるのです。
また、このような機会を入社直後だけでなく、定期的に設けることで定着率を高め生産性を高めます。

では!また。

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