優秀な人材の延長線上に業界の未来がある

優秀な人材の延長線上に業界の未来がある

シンクタンクの研究員時代、30兆円産業の市場規模に魅せられてパチンコ業界に入って30年。最初はホール企業に就職したが、現在は業界の人材教育の道で独立してAさんが人間力の大切さを説く。

Aさんが業界に入った30年前はこんな具合だった。

「サービス業としての認識が非常に薄く、弱いものでした。スローガンとして『お客様第一主義』を多くのホールさんが掲げていましたが、それは本当にスローガン止まりで、掛け声の域を出ていませんでした。結果的にスタッフ教育とは、極論すると不良客、不正客の監視のための見回り役でした。ホールスタッフ教育の基本が『客に舐められるな』。本来、客という言い方もサービス業の域に達していなかった」

業界が転換期を迎えるのは大手ホールが四大卒の新卒採用を始めてからだった。Aさんの会社でも新卒採用を始め、責任者に抜擢される。

「本当にパチンコが好きで業界に入ってくる学生さんもいましたが、家族にパチンコ業界に入りたいと言った瞬間から一刀両断です。『パチンコ屋へ就職させるために大学に行かせたわけではない』と親御さんが大反対です。内定を出してもことごとく内定辞退が出ましたね。そこで自分自身、パチンコ産業を内部から客観的に見直すきっかけになりました。パチンコの存在意義、社会的役割を系統立てて勉強を始めたのもこの時期です」

あれから30年。今後のパチンコ業界についてこう話す。

「サービス産業として成熟を目指して行く時に中心になるのは人であるべきだし、人でしかできないと思います。ロボットがいかに進化しようとも人を超える接客はできません。サービス最前線の担い手としては、人に頼らざるを得ないと思います。
しかし、残念ながらパチンコ業界の多くの経営者は、これまでどちらかというと人に頼るよりも機械に頼ってきた。稼働を上げる話になると結論は新台入れ替えだけです。この営業戦略は30年以上変わっていません。30年間以上営業戦略が不変というのはパチンコ業界以外にはありません。

日々進化している最たるものがコンビニです。
最初の頃と今では品揃えも違えば、扱っているサービスも凄く多様化しています。
翻ってパチンコ業界はどうか、というと業界は何度も山あり谷ありを繰り返す中で、業界が落ち込んでいる時に突破できたのは機械メーカーの開発能力でした。でも、これからは機械メーカーの開発に依存するのではなく、自力で人の力でサービス業としての成熟化を目指さないといけない。

そういう点から何が必要かというと優秀な人材集めです。
大手で採用を担当している時に地方の大学の学院生に内定をどんどん出していたら、役員から「パチンコ屋にそんな頭のいい人は必要ない」と言われた時はショックでしたね。

パチンコの未来は今の延長線上にはありません。もっと違う形になって行かざるを得ません。そうでなければ、パチンコ産業の発展はありません。未来の発展の担い手が優秀であれば、あるほど未来は開けて行くと思います。とにかく、ありったけの優秀な人材を集め、その人たちを徹底して教育していく。そこに価値を置く経営者へ意識改革してもらわなければなりません。

松下幸之助はおたくの主力商品は何かと聞かれた時に「松下は人を作っています」と答えた。これは名言です。人を育てることが企業発展の生命線であることをよく言い表しています。

パチンコ業界は機械に50万円使うのは何とも思わないのに、人材教育に50万円使うのは躊躇する。この価値観を壊さなければならないと思います」

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