羊のリーダーがコンピテンシーで企業を救う

■どんな組織もリーダー次第
なにも軍隊に限らず、組織はそれを率いるリーダーに左右される。経験的にも確かにその通りです。
企業でもスポーツのチームでも指導者の良し悪し で、パフォーマンスは大きく違ってきます。適切かつ効果的なリーダーシップを発揮し、組織を引っ張っていく存在としてリーダーは極めて重要なのです。
そのリーダー像とは、決断力があって、行動力があって、積極性があって外交的といった要素を持っているリーダーです。
右肩上がりの時代には、同業他社に競争で勝つことが最大の目的だったのです。
だからリーダーは、現場に「実行力」や「再現性」を求めたのです。
つまり、その時代のリーダーは、現場をグイグイと引っ張り、統率していかなくてはいけなかったのです。

しかし、成熟社会となった現代においては、新しい価値やアイデアを生み、潜在的なニーズを掘り起こさなくてはいけないのです。
それには、強いリーダーが引っ張り、メンバーがついて行くというチ ームの図式では無く、チームメンバーそれぞれが自発性を持ち、豊かなアイデアを出していくことが望まれます。
また、そのような自発的なチームは成果を上げており、大きく4つの特長を持っています。

1)メンバーが当事者意識を持っている
2)現場から豊かなアイデアが出る
3)各人が現状を的確に把握できている
4)メンバーが自主的に動いている

なお、成果を上げている自発的なチームのリーダーは、強かったり、グイグイ引っ張ったり、格好良かったりせず、自由闊達な風土やアイデアが生まれ出るシステムや場を作り出せる人なのです。
つまり、多様化が進む現代においては、ライオンのリーダーが羊の群れを率いるのではなく、羊のリーダーが羊の群れを率いて自主性を育成し新しいアイデアを生み出す環境を作り出すことで最強のチームを作り、成果を上げていくのです。

■コンピテンシーという概念の登場
今も昔も、どのような分野でも組織の長としてのリーダーが重要であることに変わりはありません。
しかし、今日では状況が少々変わってきており、最近の企業における経営、とりわけヒューマンリソース・マネジメントの領域でのキーワードのひとつに「コンピテンシー」があります。英語で「能力」を指す言葉ですが、この分野では一般に「高い業績を継続的にあげている人に見られる行動特性」などと定義されています。これは「ある人が成果を上げるために発揮した能力」ということです。

コンピテンシーという考え方は、ハーバード大学の心理学者、D.C.マクレランドらが、外交官の学歴や知能レベルと業績との関係について、米国務省からの依頼で行った調査・研究に始まるとされています。
その研究からは、学歴や知能は業績の高さとさほど相関はなく、そのかわりに高業績者にはいくつか共通の行動特性があるという結果が得られたのでした。

何かの仕事で高い成果を上げるためには、それぞれ発揮すべき能力があるというわけです。
このような考え方に基づいて、職務ごとに何が重要であるかを 分析・検討し、そのコンピテンシーを備えた人材を採用します。あるいはそういうコンピテンシーを伸ばす研修を実施して人材開発を進めようという動きが企業の現場で見られるようになりました。

つまり、ビジネス環境の変化によって求められる人材像が変化してきたのです。
かつては過去からのさまざまな蓄積をベースとして、競争力を維持することが可能だったのですが、現在では自ら考え行動すること(セルフマネジメント能力)でビジネスを作り上げていくことが競争力維持のカギとなってきたのです。
このようなビジネス環境の変化によって、必要となってきましたのは「自律性」なのです。
自ら能動的に問題や課題を発見し、解決していくことによって成果を生み出していく能力が必要とされます。自ら考え、困難な状況を打破し、道を切り開いていってくれる人材なくしては、企業は今日のように変化が激しく競争の厳しい中を生き延びていくことはできないのです。
このようなことから、企業では自律的に行動する社員を育成し、活用する必要が高まってきました。そのためには成果につながるセルフマネジメント能力を発揮しているかどうかを計る「ものさし」が必要となり、それが「コンピテンシー」なのです。
ビジネス環境の変化に応じて、「自律性」を持った優秀な人材を特定する、新しい手段・方法が必要です。
従来のように、学歴、経歴、さらには頭の良さやヤル気の高さといった基準で「優秀さ」を計ることができなくなってきたのです。
このように、具体的な行動から、発揮された能力を測る、その新しい「ものさし」として注目されたのがコンピテンシーという考え方というわけです。

■一人ひとりがリーダーシップを発揮すべきとき
現在のビジネス環境化では、トップに立つ者だけにリーダーシップが必要なのではなく、どの分野、ポジションの人も自律し、それぞれの立場に応じて適切に リーダーシップを発揮することが求められているのです。
いちいちトップに指示を仰いでいたのでは、変化・スピードに対応できません。現代は指揮官がライオンであるだけではビジネスに勝てない時代といえるかもしれません。

身近な例で言えば、忘年会でも、そのようなことは発生します。
幹事をやったことの無い人は、決まったお店について後からどうでもいい意見を言ってみたり、参加可否を問うメールを放置して返事をしなかったり、たいした用もないのに遅れてきたり「オレは酒が飲めないから安くしろ」と言ってみたりします。
リーダーシップ体験のない人は、すぐにわかります。彼らはまさに上記のような言動をし、それの何が悪いのかさえ理解していません。
そういう人は「一回もリーダーをやったことがない人」なのです。

人はリーダーシップ体験を積むことにより「高い成果を出せるチームの構成員」になれるのです。そのために、全員にリーダーシップ体験が必要なのです。
経験値の中でリーダーとしてはスキル不足だった事があったかもしれません。それでも、その経験から得たモノは「チームメンバーとしてのパフォーマンス」を大きく向上させます。
つまり、求めているのはリーダーシップそのものだけではなく「組織が高い成果を達成するためには各メンバーはいかに振る舞うべきか」を体験的に理解している人を求めているのです。
そのために「全員に豊富なリーダーシップ体験が必要」と考えているのです。

では!また。

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