優秀な上司の部下指導方法

優秀な上司の部下指導方法

■部下が意欲的に仕事に取り組み、高い成果をあげる部門の上司の五つの特徴
1)手取り足取り教えない
部下に教えることは自分の知識を披露することであり満足感が得られるが、安易に教えてはいけない。
教えるべきは方法・手段ではなく、その仕事の意味なのです。

2)失敗は責めないが怠けているときには容赦なく叱る
失敗しても部下を怒ってはいけない。なぜなら、失敗を叱れば部下は挑戦しなくなるからです。部下の失敗は「そんなものは失敗のうちに入らない」と受け流す姿勢が大切です。
しかし、怠けていることに部下には厳しくしなくてはいけません。妥協のまったくない仕事をするのは難しいことですが、妥協ありきでは成長はできないからです。

3)神は細部に宿るが信念
仕事のクオリティを決めるのは細部であるという信念を持ち、重要だと認識する部分については細部まで徹底して管理する。
その反面、成果と無関係と認識された部分についてはまったく関知する必要はなく、企画等の提出方法が紙か電子ファイルか、メモの取り方、服装、上司との飲み会の有無などについてはこだわる必要がありません。
すべからく管理する人は、単に細かい人であり、ゆるめるところはゆるく、こだわるところは細部まで詰めていくメリハリが重要なのです。

4)部下の目標は高く設定する
困難な目標を設定し達成することが、その後のその人物の伸びしろを決めます。
できる範囲の中で予定通りできたというだけの仕事の与え方をしてはいけないのです。
目標を達成することが目的ではなく、高い目標に向かって創意工夫することが大切なのです。
一見、単に無茶を言う上司に見えますが自分が予想した範囲で仕事をするだけでは、ブレークスルーもないのです。

5)成果が仕事のすべて
つまらなかろうと、面白かろうと、そんなものはどうでもよく、成果が出ることをやる。
仕事は楽しいから成果が出るのではなく「成果が出るから楽しい」のです。そもそも、面白い、つまらないというのは、本人の主観によるものであり、成果が出ればおよそどんな仕事でも楽しくなるのです。
どんな仕事であっても、うまくできれば楽しく、昨日よりも今日のほうが上達していれば楽しいのです。

なお、部下の効果評価について「短期的な業績はその人の能力を測る材料にはせず」何らかの表彰や褒賞を与えることが良く、昇進や昇格などは人からどれだけ信用されているかという基準で判断すべきです。
地位と権限はその人の信用に対して与えられるもので、お金は業績に対して与えられるものと、その二つを切り離して考えることこそ効果評価の要諦です。

昨今は、サーバントリーダーシップとして「部下を支えるためにリーダーは存在する」と定義する手法が流行しており、上司は部下の自主性を尊重し部下の成功や成長に奉仕する行動を実践するとしています。
このような「サーバントリーダー」や「ほめて伸ばす」という優しい上司が若手に人気があると言いますが、人気があるからといって人を育てることができるかといえば、そうではありません。
また、考えなしの理不尽な要求や暴言を吐くリーダーも「部下を育てるリーダー」とは異なります。
「部下を育てるリーダー」は、上述の五つの特徴のような厳しい規範を持ち、部下にとって何が良いかを真剣に考えている人物なのです。

■部下を叱るうえでの「四大禁句」
人格を否定するような叱り方は、相手の成長に何の効果も無いだけでなく、相手を傷つけ恨みを買うことさえありますので、次の四つは絶対に言ってはならない禁句です。
1)やはり、君には無理だったね
最初から期待されていなかったのだと傷つけてしまいます。

2)この程度のこともできないのか
自分の能力を完全否定されたと受け取られる恐れがあります。

3)だから君はダメなんだよ
上司である、あなたから「ダメなヤツ」と見られていると感じさせてしまいます。

4)何度同じことを言わせるんだ
自分はダメな人間なんだと自信を失わせてしまいます。

何度注意しても同じような失敗を繰り返したり、反省せず鼻につくような態度を取る相手には、つい腹立ち紛れに言ってしまいそうな言葉ではありますが「思わず口をついて出る言葉」は相手の心を傷つけるものです。
周囲で聞いている他の部下の目にも「上司として信頼できる人」とは映らず、批判的に見られる恐れがありますので注意が必要です。

■新任管理者の部下への接し方
結論としては「自分が未熟でも部下には厳しくあれ」と言えます。
道徳的には「自分に厳しく、他人には寛大に」となり、常に自分を厳しく律していく模範となる立派な人ですが、このタイプには欠点があり、自分が過ちを犯すまいと努力し、人のふり見て我がふり直します。
しかし、人の過ちを咎めることができず、言わなければわからない人、叱らなければ直らない人、罰しなければ身にしみない人と色々おり、こうした人々に対して無力で組織のリーダーとしては不適格なのです。

また、人は誰でも他人からよく思われたい、嫌われたくない、好かれたい、支持されたい、愛されたいと考えます。
寛大であれば、人から好かれますし、幼いころには、親や学校の先生から「人には親切に」「相手の立場を尊重して」「友人を大切に」と教わりました。
しかし、部下に寛大なだけでは部下の成長はありません。
マキャベリは「君主論」の中で「君主は愛されるよりも恐れられよ」と述べています。

つまり、都合が良いように見えますが、優秀な上司は「自分に寛大で部下には厳格」に行動する人なのです。
上司は人間性を高め己を厳しく律しなければならないので、当然、その努力はするのですが、優れた人間性を身につけるまで、部下の指導育成をしなくて良いことにはなりません。
未熟であっても上司としての任務は果たさなければならないのです。

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