もしもプロ経営者松本晃氏がホール経営をしたら

いささか古い話になる。

「NHKの西郷どんを観ていますか? ウチの会社は黒船が来航した時の幕末状態です」とホール関係者が胸の内を明かす。

主任、副店長、店長クラスの人材は豊富にいるものの、その上のクラスに優秀な人材が育っていないために、大胆な人事異動も断行された。

「西郷隆盛のように上に物が言える人間がウチにはいないことが問題。人材の引き抜きも考えたがプライドが邪魔している」

薩摩藩の新しい藩主となった島津斉彬は、積極的な人材登用を推し進める中で広く家臣に意見を求めた。その過程で斉彬の目に留まったのが西郷から差し出された建白書だった。手紙には「農民は経済の元であり、武士は国の経済の元である農民を慈しみ育てなければならない」と書かれていた。

西郷の考えに興味を惹かれた斉彬は、西郷をそばに置くようになった。

斉彬の命により、薩摩藩以外の人物とも多く交わるようになった西郷は、知識見聞を大きく広め、西郷自身の名前も知られるようになる。西郷は斉彬に才能を見いだされ、西郷もその才能をどんどんと高めていく。

歴史上の人物となった西郷隆盛像を求めるよりも、もっと現実的な道がある。それはカルビーの元会長である松本晃氏のようなプロ経営者を招き入れることだ。

会長に就任するなり8期連続で増収増益を達成した手腕は高く評価されている。

松本氏は京大農学部出身で伊藤忠商事に入社する。39歳の時に海外最新医療機器の販売を行っているセンチュリーメディカルに出向。大赤字だった会社の売り上げを6年間で20倍の黒字会社に転身させた。

実績を上げても給料は上がらず、昇進もないことから転職を決意する。23社のオファーの中から選んだのがジョンソン・エンド・ジョンソンだった。ここでも6年間で赤字部門を5倍の売り上げにして黒字転換させ、52歳で社長に就任する。社長就任後の9年間で売上高をさらに4倍に増やし、利益は30倍まで拡大させた。

2009年にカルビーの会長兼社長に就任すると今度は8期連続で増収増益を達成する。松本氏がカルビーで着手したのは会社が儲かる3原則だった。

1.商品の品質
2.コストが安いこと
3.供給体制が整っていること

カルビーは1と3はできていたが、2が全然できていなかった。コスト改革では工場の数を減らし、稼働率を上げることで製造原価を下げた。併せて製品の価格も下げて競争力を高め、シェアを拡大した。それによって工場の稼働率はさらに上がっていった。

製品開発でもヒットを飛ばす。それがシリアルにドライフルーツを交ぜた「フルグラ」だ。朝食革命をキャッチフレーズに売り出すと、大ヒット商品となった。

働き方改革では女性管理職の比率が5%に過ぎなかったものを25%に引き上げた。「女性の活躍なしにカルビーの将来はない」と同じ能力なら女性を登用した。そのため、社内の反発はあったが怯むこともなかった。

もし、松本氏がホール企業に招かれたらどんな経営手腕を見せるか?

モノを売る商売ではないので、これまでと勝手は違う。やはり機械代の大幅削減から始めるか? 新台入れ替え頻度が下がれば、稼働も下がる。今までのやり方がそのまま通用しないだろう。

ライザップのCEOに就任するも手を付けられない状態に、半年で逃げ出すことのない業界であることを願いたい。

このエントリーをはてなブックマークに追加